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入浴すると何故よく眠れるか?
夜寝る前には入浴をして、
リラックスしてから眠りにつくというのが
現代人の一般的な習慣ですね。
入浴をすることで眠りやすくなるというのは、
イメージしやすいと思いますが、
睡眠の質を高めるために入浴が有効といわれるのは、以下のような理由からです。
➀深部体温を上げて、その後の急降下を作るから
⇒就寝前の深部体温が低いと睡眠の質は高まります。
②末端と胴体部分の皮膚温の差を0に近づけるから
⇒末端と胴体部の皮膚温の差が0に近づくとヒトは睡眠に向かいます。
末端の皮膚温が高くなればその温度差が縮まるため、
寝る前には、いかに手足などの末端を温めるかが重要なのです。
入浴によってリラックス作用が高まると、副交感神経が優位になり、
末端の血管が拡張して手足はポカポカと温まります。
③温熱作用、浮力作用により、副交感神経が優位になるから
⇒適切な入浴により、副交感神経が優位となります。
熱すぎるお湯ははNG、通常40℃以下が適切とされています。
更に水には浮力が働くため、
その浮力による開放感で副交感神経を活性化し、リラックスしやすくなります。
浮力を有効に働かせるため、お湯はたっぷり入れて全身浴を基本とします。
④視索前野の温度が上昇し、デルタ波が増えるから
⇒脳の視床下部前方にある、視索前野が温まることで、
最も深い眠りのデルタ波が増えて、深い眠りにつながります。
入浴時間と湯温
適切な入浴時間と温度についてですが、
副交感神経を活性化するお湯の温度は40℃程度が良いとされています。
39℃以下では深部体温が上がりにくい傾向にあり、
42℃以上だと反対に交感神経が活性化してしまうのに加えて、
深部体温が上がるまで浸かっていられなかったりするためです。
湯温については、秋田大学の入浴による体温変化と脳波を調べた研究によると、
40℃のお湯に10分浸かると、深部体温は0.3℃上がり、
15分浸かると、深部体温は0.5℃上がることが分かっています。
当然、深部体温が高いほど、
その反動で入浴後はより深部体温は下がります。
皮膚血流量は10分より15分の方が良くなりますが、
15~20分ではあまり変わりません。
なので、忙しい現代人が効率よく入浴するなら、15分で大丈夫なのです。
シャワー浴はどうなのか?
シャワー浴ではダメなのかという疑問が出る場合がありますが、
シャワー浴が適さない一番の理由は、深部体温の上昇です。
入浴に比べると、その差は歴然です。
更にシャワーの水圧が強いと、
皮膚に当たった刺激で交感神経を優位にしてしまうリスクもあるため、
時間のある方はしっかりと湯船に浸かるのがオススメです。
時間がなくてシャワーだけで済ませてしまっているという場合、
5~10分程度でもいいので、お湯に浸かる習慣をつけてみてはどうでしょうか。
就寝直前の長湯はNG!
更に眠りを深くするためには、
入浴を終える時間も重要となります。
研究によると、深部体温が上昇している時や、体温が低い時は、
長く眠り続けることはできませんが、
高い体温から下がりつつあるタイミングで眠りにつくと、
長く寝続けることができることが分かっています。
つまり、入浴によって体温が高止まりしている入浴直後や、
体温がすっかり下がりきってしまった後ではなく、
入浴で深部体温を少し上げて、その後温度が平熱に戻り、
更にその後下がりつつある始めの段階で眠りにつくことが大事であるということです。
そのため、夏場は就寝の1~2時間前、
冬は30分~1時間前にお風呂から上がるようにすると良いでしょう。